日本語と英語で違う、天体の意味① 月と惑星

Fly me to the moonという歌があります。昭和のオタクなら全員ご存知ですね。平成だとどうかな。洋楽は聞かないけれどなぜかこれだけはフルコーラスいけるという方も少なくないでしょう。

タイトルは私を月まで連れてって、と翻訳されることが多いです。もっと身も蓋もなく直訳すると、わたしを月まで飛ばせて。飛ばせろ。

この字面だけ読むと月面旅行したいのかな?という感じですが英語でのニュアンスはそうではなくて、月へ行くとはふわふわと酩酊したような最高の気持ち、みたいな意味合いです。中世以前には月は金色銀色に光る夢のような場所で、アポロ13が撮影した無限の暗闇に浮かぶつめたい岩の世界ではありません。ハネムーンという言葉もあるくらいです。honeymoonですね、日本語にも輸入されて蜜月という言葉になってます。ハネムーンとは月に行くように遠くいう意味でなくて、新婚の二人が月で過ごすようなねっとり濃密な旅をするみたいな言い方なわけです。lunaticという、狂気を示す単語もあります。

良くも悪くも人を狂わせるのは月であるという考えが長く英語圏にはありました。

日本語で近い言い回しに天にものぼるような心地、という言葉があります。この言葉が高度何千メートルに行った時の気持ちと似ていると言いたいわけではなく極楽浄土としての天を示すのと同じように、Fly me to the moonとは、私を月まで連れてって、という日本語から感じるよりずっと甘いえろい誘い文句です。甘く狂わせてほしい酔わせてほしいみたいな?

ちなみにセーラームーンは惑星に関してこちらの、英語圏的な惑星観を採用しています。だから天文学的には衛星のひとつに過ぎない月がほかの惑星と同列、どころかリーダーなんですね。月は占星術錬金術のベースとなるセフィロトの樹において地球に最も近い惑星として配置されています。

もうちょっとこの曲から抜粋。

Let me see what spring is like On Jupiter and mars

これは直訳すると、火星や木星に訪れる春を見せて、です。

英語の月行きが甘い響きを持つように、MarsとJupiterにも、日本語で言う火星と木星以上のニュアンスを持ちます。

歌い出しで月旅行を所望したからさらに遠くに連れてけと言ってるわけではないです。いやそういう言葉の流れでもあるけども。

Marsとはギリシャ読みではマルス、戦争と戦いの軍神です。ファイアーエムブレムの主人公の名前としても有名です。雄々しさの象徴とも言える神です。若く荒々しいイケメン、声帯で言うなら細谷和正とかドモン・カッシュ時の関智一

Jupiterとはギリシャ神話において全能の神ゼウスとも同一視される神で、大雑把にいうと超パパです。父性、絶対神。支配者。日本だとゼウスと言えばビックリマンチョコスーパーゼウスのイメージが強いような気がしますが、あれあながち間違ってないのがすごい。大塚明夫の声で間違い無いでしょう。中田譲治とか藤原啓治もアリ。

英語の人がマーズ、ジュピターと言われると、これらのイメージが背後にふわっとします。

日本人が弥生と言われると三月とかひな祭りとか桃の花とか卒業とかおとなしそうな女の子とかのイメージがなんとなく浮かぶのと近いですね。

つまり、火星や木星、というのは若く猛々しい青年の魅力と全能の包容力なパパみを兼ね備えた男性。女性で言うならエロさとかわいさとバブみを兼ね備えた存在とでも言うべき最高の相手、そんな人物を思い起こさせるようになってるんですね。

言い換えると、「あたしにあんたのスーパー攻め様なスパダリっぷりを見せつけてよ」的な、そこにもうちょっとくんずほぐれつ的な意味が乗るわけです。戦の神だし、その春だし。

この歌、歌詞の流れ全体を見ると、わりとセクシーなお誘いをしています。そしてあのタイトル。

元々はキャバレーで披露されてた曲というのがわかる気がします。

さて、日本語の天体と英語の天体の単語の意味はけっこう違う、ということをFly me to the moonを例に挙げてご説明しました。

次、日本語の宇宙と英語の「宇宙」が示すものの違いです。

スピリチュアル本やコジコジの言う「宇宙」とは、英語では本来どのような意味なのか、です。

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