タロットカードとオラクルカードを比較する①タロットカードの歴史

タイムラインでタイトルの二つの区別がつかない、というツイートを見かけてそのうちやろうと思っていたものです。

まずはそれぞれの成り立ちと現代にいたるまで。タロットの歴史にとくに興味ない方は本記事とばして大丈夫です。

タロットカード

マルセイユ

15世紀にギャンブル用ツールとしてミラノで発生しました。イタリアの荒くれ者たちが使っていたのを想像すると楽しいですね。昭和のチンピラがやる麻雀みたいな位置づけでしょうか。15世紀のイタリアはルネッサンスまっただなか、ヘタリアではちびたりあちゃん時代です。好景気がカードゲームの普及にかったのかもしれないですね。

ケルト神話ユダヤ教やエジプト神話、そしてもちろん新旧聖書といったいろんなモチーフが織り込まれていますが、これは当時の人々が特に敬虔だったわけではありません。いや敬虔でもあったのでしょうが、この時代の「物語」は神話か民話がほとんどなんですね。なので知ってる作品全部ぶっこんでみた、いわゆるスーパーロボット大戦のノリだったのだと思われます。娯楽用っぽい。敬虔なキリスト教が作ったものならキリスト以外のモチーフ入れないでしょうしね。

なおほぼ同時期、ルネッサンスの申し子の一人、英米文学および現代英語のルーツとすら言われるウィリアム・シェイクスピアが同時期に活動しています。当時のシェイクスピアは流行のトップです。英米文学のシェイクスピア前後はマンガの手塚治虫前後くらいに別物です。

このころの原始タロットとでもいうべきものがその後フランスでまとめなおされ、16世紀くらいに木版画の普及と一緒にヨーロッパ全土へ広がります。このフランスまとめ版が現代では「マルセイユ版」と言われています。

これがマルセイユ版の絵柄。今でも扱う人がいます。

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マルセイユ版はフランス発祥なので当然大アルカナはフランス語で書かれています。

また、小アルカナにはまだ場面描写的な絵柄がありません。以下参考画像。

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それぞれの剣、カップ、某、金貨というモチーフは同じですが、まあそもそもギャンブル用カードなので場面を描かれるよりモチーフの数が描かれてたほうが手札を把握しやすい、というか場面を描くという必要も発想もないわけです。

ちなみに小アルカナ+愚者の53枚がこのあとトランプとして発展します。よりギャンブルに特化した形へ洗練されていくわけです。

ライダーウェイト版

19世紀に魔術師団体「黄金の夜明け団」と所属魔術師、ライダー・エドワード・ウェイトさんが占術ツールとして再構築しました。

西洋魔術の根幹は「万物照応」、すべてのものごとはだいたい似たような形をしている、というものです。ウェイトさんは「タロットカードの多様なキーワード、モチーフ、場面描写を使えばあらゆる出来事を暗示できるのではないか」と考えました。

そこで大アルカナに占星術のモチーフ、カバラ数秘術の要素をからめて大アルカナの8と10を入れ替えたりモチーフを改変したりしました。マルセイユ版からの最大の改変は小アルカナすべてに絵柄をつけたことです。アニメ化のために原作からキャラデザ変えたり原作でモブだったクラスメイトのプロフィールを全設定したようなかんじです。

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絵柄のオーダー自体はウェイトさんがやりましたが、これを含みが多くわかりやすい形に仕上げたのがパメラ・コールマン・スミスというイラストレーターです。彼女は北斎の影響も受けていたらしく、言われてみればなんとなくわかるところがあります。西洋画より浮世絵に近いと言えなくもない。日本人うけがよいのもそのへんにあるかもしれません。

「タロット」と言えばおおむねこのバージョンを示します。派生タロットもたいていこれがベース。

「ウェイト版」「ライダー版」「スミス版」などと呼ばれますが、作者の名前のどの部分を切り取ったかというところですね。

小アルカナの絵柄が描かれたことによって丸暗記する必要がなくなったり、インスピレーションを得やすくなったりしています。

状況、場面を占うものとしては、タロットカードの中では最適と言われています。

トート版

1969年に「アレイスター・クロウリー」という魔術師が魔術のために再編成したバージョンです。アレイスター・クロウリーCCさくらクロウ・リードのモデルとしておなじみですね。

20世紀の再編成版であるため、中世に作られたウェイト版から細かいところでアップデートされていたり、先祖返りしたりしています。

・ウェイト版の人物カード「王、王妃、騎士、従者」が「王、王妃、王子、姫」に

・「世界」が「宇宙」に

・「力」が「欲望」に

・小アルカナが場面描写ではなくモチーフの配置(マルセイユ版と同じ)に

あと科学が発展したあとのカードなので剣の6が「科学」という意味だったり(ウェイト版では新天地への旅立ちみたいなかんじ)、隠者のカードに精子が描かれてたりと、過去のタロットが錬金術やエジプト神話をぶっこんだのにならって近代の概念もいろいろ入れようとしたんだなあ、という雰囲気です。人物カードに女性が増えてるのもそうですね。

魔術用途としてタロットを使う場合は、マルセイユ版かトート版でないとだめらしいです。小アルカナに絵が描かれてたり大アルカナの配置を原作から変えてるとだめだとか。ライダー版は「傑作であることは認めるけど原作準拠とは言えないアニメ版」「作品としてすばらしいけどガンダムとはいえないGガンダム」「アニメ版涼宮ハルヒ」みたいなものですね。

なお「ラブライブ!」の東條希さんはアニメで最初にタロット出したときの絵柄がトート版で「こいつ…魔女か!」ってなりましたが、その後はライダー版を出してます。アイドル活動を続けるにあたって人前では大衆的なカードを使うことにしたのでしょうか。ドヤ顔でくりだしたタロットに男性器とか精子とかダイレクトに描かれてたら(トート版は描かれてるんですよ)さすがに困るものね…

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figmaではタロットカード付属、絵柄はウェイト版の星。いいチョイスだと思う。

ニューエイジブーム

1970年のアメリカで「ニューエイジ・ブーム」というのが発達しました。ニューエイジは日本人の言う「スピリチュアル」とほぼ同義です。日本に輸入されたころは「精神世界」と翻訳されており、現在も書店や図書館では「精神世界」という棚に分類されます。トート版の発行も1969年ですね。ブーム真っただ中です。

ニューエイジブームは、おおざっぱにまとめると「これまでキリスト教的な考え方が支配してきた歴史から新しい時代になるぞ」っていう機運と、キリスト教にかわる信仰の対象がどかんとあふれたムーブメントです。文字通り新しい世代、キリスト教以降の世代。聖職者およびイエスのものであった奇跡がそれ以外の人にもできると言い出した団体が同時多発したかんじ。霊視、霊界、サイキック、チャネリング、宇宙人などの考えはだいたいこのへんで発生しています。

新しい時代になる根拠というのが、占星術において、こよみが水瓶座に切り替わる時期だからなんとかかんとか。このとき大ヒットしたミュージカルの挿入歌「AQUARIUS」が大ヒットしたりもします。この「AQUARIUS」に坪内逍遥長唄を組み合わせてカバーしたデーモン小暮の「AQUARIUS」が、めっちゃかっこいいです。讃美歌の美しさ…悪魔なのに…以下ニコニコ動画

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ニューエイジブームはそれまでの揺り戻しが大きく出ています。なのでキリスト教では「添え物」であった、どころか「女に魂は無い」と公式発言までしていたところすらあった「女性」および女性性を重視したものとなっています。たぶん女性の社会進出が本当に本格的になってきたからかな?と思ってます。そして社会で戦う女性のための信仰が必要だったのではないかな、とか。きっとトートタロットにプリンセスが加わっているのもその流れ。

そのためキリスト教モチーフではなく精神世界、宇宙の声、マヤ文明や仏教、インド哲学ケルト神話、インディアンのアニミズム信仰といった異文化的な要素が好まれて取り上げられています。

そんな中で、タロットカードを東洋思想で解釈しなおして作られた、最初のオラクルカードともいえる「Secret Dakini Oracle」が1979年に出現します。

次の記事はオラクルカードの歴史について。

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